確か小学校3年か4年の事。
当時住んでいたオリエンタルアパートの前にはみかん畑があり、そこでよくみかんの小さな実をボールに野球をして遊んでいた。
ある日、俺の打ったみかんの球は改心の当たりで自宅方面に飛んでいき、その後派手にガラスの割れる音が響いた。
俺と友達はその音を聞くなりその場から逃げ出し、ほとぼりが冷めるまで東陽中学の裏に身を潜ませた。
夕方になり帰宅したが、時が全てを無かったことにしてくれる訳もなく、家の玄関のガラス窓が無くなっていた。
仕事から帰ってきた親父にお袋は事の顛末を伝えており、流石の俺も雷を覚悟したが、親父はその事にはいっさい触れず、俺をバイクの後ろに乗せ、扇が浜まで連れて行ってくれた。
夕陽が海を染め、俺が泳ぎ疲れるまで、浜辺でずっと待ってくれていた親父。
その時は何も気づかなかったが、今にして思えば多分親父には子供のわからぬ悩みがあったのかもしれない。
海に沈み行く夕陽を浴びながら、何かと戦っていたのかもしれない。
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