2021年11月3日水曜日

Threshing machine

ベトナム北部における稲作は冬春作(冬に植えて春に収穫する)と夏秋作(夏に植えて秋に収穫する)の二期作であり、今は秋の収穫の時期に当たる。
先日Tuyenの家に遊びに行ったが、そこで脱穀機の実物を初めて見た。
脱穀機により稲の穂先から落とされた籾は、田んぼ道の半分を覆うほどに広げられ、天日に
翳される。
脱穀を終えたおじいさんから、午前中ではあるが自家製の酒を勧められ、しばし歓談。
この辺一帯は田を耕す工程から、田植え、刈り取り、籾から玄米、白米までの精米工程のほとんどすべてを手作業で実施しているという。

日の出とともに起き、田畑作業に精を出し、日が暮れるとその日の仕事は終わり、あとは五右衛門風呂で疲れを癒し、自家製の酒を楽しむ。
お袋の親父さん、俺にとっては祖父にあたる祖谷のじいちゃんがこういう生活だった。
俺は小さい頃から夏休みのほとんどを祖谷で過ごした。
俺が祖谷に着く日に、じいちゃんは必ずきりぎりすを取ってくれていた。

じいちゃんは俺が小学生低学年の時、自宅で息を引き取った。
家族、親戚が集まり雑談をしている中で、「ふっ」と息を吸った後、そのまま旅立った。
俺はその時、隅っこで寝ていたのだが、じいちゃんの最後の息の音を確かに聞いた。

どうやら朝からの酒と古い脱穀機が、じいちゃんのことを思い出させたようだ。




0 件のコメント:

コメントを投稿