厳密に言えば、ウクライナ共和国内の自治共和国であるクリミアに、ロシアが武力を集めている。
この騒動の発端は、ウクライナのヤヌコビッチ大統領がロシアからの圧力により、欧州連合(EU)との貿易や政治に関する協定締結を拒否し、その見返りとしてロシアから150億ドルを受け取ったこと。
この行為に対し反政権デモが活発化し、ヤヌコビッチ大統領は失脚、ウクライナにおける親ロシア政権は崩壊した。
では、なぜロシアの軍事介入先がクリミアになのか?
これには、過去からのこの地における戦争の歴史が関連してくる。
第二次世界大戦後は、旧ソビエト連邦ロシア領だったクリミア半島だが、1954年にクリミアはウクライナに帰属替えされた。
このクリミア、非常にややこしい立ち位置で、1992年のソ連崩壊の際、ロシアの後ろ盾の元、ウクライナからの独立を宣言したが叶わず、今はウクライナ共和国内の自治共和国という位置づけになっている。
この地にはロシア系住民が数多く住み、今もクリミアの人口の60%がロシア系との事。
軍事介入を決めたプーチン大統領の言い分としては、「ウクライナの異常事態によりクリミアに駐留しているロシア軍の生命が脅かされている」とし、自国人保護のために軍事介入という錦の御旗を掲げている。
クリミア自治共和国では2月27日に、武装部隊が占拠した議会で首相が解任され、親ロシア政党のアクショノフ氏が新首相に就任した。このことにより、クリミアはウクライナ新政権の統治が及ばない分離独立地域になりつつあるとのこと。
自国人保護のためと銘打ちながら、ウクライナ内部の国政に関与しているロシアを見ると、その裏にロシアの支配権強化という目論みが見え隠れする。
アメリカをはじめとする欧米諸国では、ウクライナの主権による領土統一を支持しており、ウクライナの未来は、他国ではなくウクライナ自身で決めるべきだ、との意向を示している。
ハンガリーの東側に位置する、隣国での騒動。
かつて、ハンガリーで起きた1956年革命(ハンガリー動乱)のような悲惨な結末にならなければ良いが・・・
「歴史は繰り返される」となると、今までの経験が何の意味も持たなくなる。
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