2023年9月30日土曜日

Time for change

外国人材の受入れ手段のひとつとして技能実習制度があり、その趣旨を発展途上国に対する技術移転による国際貢献としている。
ただこの制度、見方によっては体のいい労働力確保として捕らえられ、事実海外からは転籍も出来ない奴隷制度との批判も受けている。
海外から日本へ技能実習生を送り出すためには、その国で認可された送り出し機関を経由しなければならず、現在俺はその送り出し機関で日本へ実習生を送り出す責任者として働いている。
日本では昨年末から技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が開催され、さまざまな議論がされているが、その渦中の業務をしている身から、技能実習制度について考察する。

まず、海外が技能実習制度を奴隷制度として批判する根拠として、入国すれば1号となり1年間、その後2号移行試験に合格すると2年間、3年終了後に3号移行試験に合格すると更に2年間延長出来るのだが、この間転籍は認められておらず、同じ会社での勤務を義務付けられる。
転籍の自由を認められていない点を捉えて奴隷制度と批判されているが、技能実習制度の趣旨である日本の技術を習得し自国展開するためには、ある程度の期間は当然要すもので、それを3年間と定めているだけに過ぎない。

また、建設会社社員によるベトナム人技能実習生に対するパワハラが世間を騒がしたが、これはほんの1部の馬鹿な会社の馬鹿な社員によるもので、少なくとも当社がお付き合いをしている企業にそのような輩は見当たらない。
コンプライアンスという点では、当社より数段上の企業ばかりだ。

ただ、技能実習制度の趣旨とは異なり、日本に行こうとするベトナム人技能実習生の主たる目的は「お金を稼ぐ」ことであり、帰国後も同様の職種に就き、自国への技術移転を図ろうとする者は少ない。
受け入れをする日本企業にしても、労働力確保という意味合いが強いのも事実。
つまり国が定めた技能実習制度の建前と、受け入れ者・実務者の本音が乖離していることが根本的な問題となる。

今秋には技能実習制度の見直しが図られる。
少子高齢化という日本の現状を踏まえ、建前に拘らず実態に応じた制度改革を期待する。


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